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25%の危機

 「これは一体どういう意味だ。日本は各国に何を求めているのか」

 昨年来、地球温暖化対策の国際交渉の場で、日本政府の担当者らは、温室効果ガスを25%削減する中期目標の前提条件について、度々こう説明を求められた。この前提条件とは「すべての主要国が参加する公平で実効性のある国際的な枠組みの構築と、意欲的な目標による合意」。しかし、「正直、われわれもよく分からない」と答えるしかなかったという。

 ■突出する負担

 ドイツ・ボンの国連気候変動枠組み条約事務局に中期目標を提出する期限が迫った今年1月下旬に、前提条件の修正案が作成された。「各国の疑問に答え、交渉カードにもなりうる目標にしなくてはならない」との考えからだ。

 文案には▽国際機関によるものを含むさまざまな指標を使った客観的な分析に基づき、先進国が同等の約束をすること▽途上国による十分な貢献▽技術に基づく新たな柔軟性メカニズム(先進国と途上国間で排出枠のやり取りができる仕組み)の構築-と記された。

 この案は地球温暖化問題に関する閣僚委員会に提出されたが、「この段階で(文言を)変えて後退したとみられるのは決して得策ではない」(小沢鋭仁環境相)との判断から、前提条件はそのままに中期目標が同月26日付で提出、登録された。

 日本政府は、各国の約束が公平なものかどうか客観的に分析できる指標として「限界削減費用」を主張してきた。

 温室効果ガスを追加的に削減する際の費用のこと。省エネが進んだ日本が、遅れた国と同量の排出削減をするためには、より高度で高価な技術を導入する必要があり、負担は重くなる。地球環境産業技術研究機構(RITE)などの試算によると、1990年比25%削減目標を掲げる日本が1トン当たり476ドル(約4万2800円)なのに対し、90年比20~30%削減の欧州連合(EU)は3分の1以下の135ドル、2005年比17%(90年比3%)削減の米国はさらに低く60ドル。国内総生産(GDP)を一定額生み出す際に伴う排出量の05年比40~45%削減を目指す中国に至っては0ドルだ。

 このため経済界はこぞって「日本の目標は突出している」(御手洗冨士夫・日本経団連会長)と反発する。日本企業は、排出枠の市場価格が1トン=476ドルまでなら国内で努力するより海外から排出枠を買った方が効率的。ただ、資金流出を招き、温暖化対策の技術開発や国内投資が遅れる恐れがある。現在、欧州の排出枠価格は1トン=12~13ユーロ(1500円前後)。大量に排出枠を買い込んでいる欧州の金融機関は、日本が優良顧客になると期待しているのが実情だ。

 これに対し、民主党政権は高い目標が企業努力を促し、結果的に競争力が高まると主張。引き合いに出すのは70年代の石油危機だ。日本企業は省エネを徹底し、コスト競争力と技術力を身につけた。しかし、世界中が同じ条件を課せられた石油危機と違い、今回は日本だけが極端な制限を受けることになる。

 ■誰もついてこない

 では、各国に公平な目標とはどの程度なのか。国際エネルギー機関(IEA)の試算によると、大気中のCO2濃度を一定に抑えるために必要な削減率(90年比)は日本で10%、EUで23%、米国で3%とされる。

 日本政府の交渉担当者は、IEA関係者から「どうやって25%も削減するのか。日本はエコカーや省エネ機器をたくさん輸出しているからそれを排出削減にカウントするつもりか」と探りを入れられたが、返答に窮した。それは、政治が決めることだからだ。民主党政権は国際的な温暖化対策の枠組み交渉をリードしようと高い目標を打ち出したという。しかし、各国間の利害対立は鋭く「誰もついてこなかった」(交渉筋)。

 プール学院大の山本隆三教授は、国際交渉や国内の排出削減に注力するよりも、日本独自の基準で近隣のアジアの途上国の排出枠を承認して購入し、技術移転も進めるべきだと提案。また、「国際合意に期待していない米国は、そうしたやり方を模索し、中国にも接近している。環境関連の市場を押さえるためだ。日本も早く手を打たないとアジア市場を奪われるだろう」と警告する。世界の排出削減に貢献し自らの経済成長につなげることができるのか、日本の戦略は根本的な練り直しを迫られている。

(環境問題取材班)

(MSN産経ニュース、http://sankei.jp.msn.com/solarpower/news/100227/spa1002271141001-n1.htm

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