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嘆かわしい「夏休みのラジオ体操事情」

 2010年版「世界保健統計」で発表された日本人の平均寿命は83歳。それと同じ齢を重ねてきたのが夏休みの風物詩「ラジオ体操」の放送である。

 ラジオ体操が初めて東京中央放送局(=現在のNHK)放送されたのは1928年のことである。考案したのは、当時の逓信省簡易保険局(=現在のかんぽ生命)。1920年代初頭、米国のメトロポリタン生命保険会社が「健康体操」なるものを開発し、ニューヨークやワシントンなどでラジオ中継していたのを参考にしたものだという。「ラジオ体操会」を夏休みにする習慣のきっかけになったのは、1930年、東京・神田の万世橋署児童係巡査が「長期休暇中の子どもたちに規則正しい生活を身につけさせたい」と始めたところから。夏休みのラジオ体操発祥の地は東京・神田なのだ。

 戦時中は「国民心身鍛錬運動」の様相を呈し、戦後に米国軍から「民主的でない」と禁止令が出て、放送は一旦中止された。しかし1951年、内容を一新した「新ラジオ体操」が再スタートを切ることになる。これが私たちの知っている現在のラジオ体操である。1953年7月には「夏期巡回ラジオ体操会」が開始され、夏休み期間に全国40数カ所で実施。こうやって夏休みのラジオ体操は、日本人の子どもの夏休みの定番となっていった(大空出版の初見健一著『まだある。こども歳時記 夏休み編』より)

 2010年の夏で82歳となるラジオ体操。放送が始まったころに生まれた人たちの、孫やひ孫の世代が主役となった夏休みのラジオ体操には、確実に陰りが見え始めている。今時の子どもたちにとっては、ラジオ体操は夏の定番行事ではないようなのである。

 現在、どのくらいの子どもたちが夏休みのラジオ体操に参加しているのか。西日本リビング社のアンケート調査がネットの中で公表されていたので紹介させていただく(西日本リビング新聞社「おんなごころ研究所日々」より)。

 福岡都市圏・北九州市の小学生のお母さんを対象に「子どもをラジオ体操に行かせていますか?」とアンケートをとった結果、「YES」と答えたのは福岡都市圏で58.2%、北九州市ではわずか19.2%。福岡市に住まう小学生を持つオヤジの体感的には、もっと低い気がする。行かせていない理由は、「近くでやっていないから」「子ども会(育成会)に入っていないから」など。

 夏休みのラジオ体操は、学校が推進するものではなく、保護者や地域の有志によって運営されている「子ども会」が主催するものらしい。少子化に加え、共働きが多い世帯にとっては、子ども会に参加すること自体が負担。また、自主運営のため、防犯体制も緩い。何か問題があった時に、ややこしいことになる。そんな面倒なことなら、子ども会もラジオ体操ももういらない。結局、地域の子ども会の風化が、夏休みのラジオ体操を壊滅状態に追い込んでいる実態が見えてくる。

 この状態を「親たちの無責任のせい」だとは責められない。子どものことは妻に任せっきりで、私の住んでいる地区の子供会がどこでラジオ体操を開催しているかも知らないオヤジが偉そうな批判はできない。

 ただ、夏休みに早起きをする楽しさを身体で覚えることは、子どもたちにとってとても大切なことだと考えている。「健康増進」やら「規則正しさ」やら、大人の理屈はどうでもいい。夏休みのラジオ体操が必要だと思う理由は、学校に行っている期間には体感できない「時間」を体験できたことだ。

 早起きして二度寝する楽しみ。ラジオ体操と朝食の間の時間を有効活用した遊びの喜び。母親が起きる時間を体感することによる感謝の気持ち。そんな貴重な「時間」の体験を子どもたちにうながすためには、「夏休みのラジオ体操」という強制が一番適切であった気がする。だから、ぜひとも「夏休みのラジオ体操」は、復権してもらいたいと願っている。

●「夏休みのラジオ体操」風化防止策

 そこで、誠に無責任ではあるが「夏休みのラジオ体操」風化防止策を考えてみた。するべきことは、ラジオ体操そのものへのてこ入れである。次の動画を見ていただきたい。

【ラヂオ体操第4】

 ラジオ体操の70年ぶりの続編と称する「ラヂオ体操第4」である。これは、アディダス・ジャパンが展開するリーボック ジャパンのスポーツウェア「TAIKAN」のプロモーション動画で、いわゆる「ラジオ体操」とは、まったく無関係なのだが、一時期、ネットで話題騒然となっていた。

 いまなお本家のラジオ体操には、「国民心身鍛錬運動」の匂いがある。それを地域の子ども会が推進していく。強制する。時代とは逆行した仕組み自体に無理が生じている。余白がない。余裕がない。こういう仕組みは、自然と淘汰される。

 「ラヂオ体操第4」のような体操は、実質的には無理であるが……、こういうことをヒントに、今あるラジオ体操は、もっと地域色豊かなものにアレンジしていいのではないかと考える。

 日本各地で同時間に同じことをなぞっているラジオ体操ではなく、日本各地で朝の同時刻に、各々の地域が競うように、オリジナルのラジオ体操をやっている。その風景は、きっとネットを通して全国に発信される。それで競い合うサイトもできたりする。その盛り上がった状況には、きっとスポンサーも付くであろう。地域のクリエイティブが資本に変わっていく。

 昨今の子供会のラジオ体操参加率向上策のほとんどは、「皆勤賞で●●がもらえる」である。子どもたちに経済合理の選択をさせて、「夏休みのラジオ体操」を維持しようとしている。それって、どこぞの国の政党の施策と同じ構造ではないか。

 「ラジオ体操」の参加率をクリエイティブで解決する。そんな地域自治が生まれてきたら、日本も必ず地域から変わっていくのではないだろうか。(中村修治)

(MSNマネー、http://money.jp.msn.com/newsarticle.aspx?ac=IT20100820012&cc=07&nt=00

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